2023年5月能登地方の地震で発生した地震動の性質と強震観測点周辺の被害調査速報

作成:汐満将史,中澤駿佑,境有紀,長谷川千紘,稲見圭人

発生した地震動の性質

*強震観測点で観測された地震動の性質

強震観測点周辺の被害調査速報

山形大学,京都大学,宇都宮大学で強震観測点周辺(半径200m以内)の建物を対象とした被害調査を行い,その結果を掲載しています.
*結果は速報値のため,今後修正する可能性があります.

観測点位置図


*K-NET大谷 兼珠洲市大谷町震度計の震度は,気象庁発表は震度5強だが,筆者と防災科学技術研究所の算出結果は震度6弱(計測震度5.5)となっている.

観測点周辺(200m以内)の状況

・K-NET大谷兼珠洲市大谷町震度計(震度6弱(気象庁発表5強),調査日:5/13) ・K-NET正院兼珠洲市正院町震度計(震度6強,調査日:5/13) ・KiK-net内浦(震度:6弱,調査日:5/13) ・KiK-net珠洲(震度:6弱,調査日:5/14) ・能登町松波震度計(震度:5強,調査日:5/14) ・JMA珠洲市三崎町(震度5強,調査日:5/14)

調査結果(数字は暫定値)

観測点名全建物棟数木造建物棟数全壊・大破建物棟数全壊建物棟数全壊・大破率(%)全壊率(%)
K-NET大谷
兼珠洲市大谷町震度計
29260000
K-NET正院
兼珠洲市正院町震度計
4137337.38.1
KiK-net内浦210000
KiK-net珠洲12100000
能登町松波震度計1411340000
JMA珠洲市三崎町23220000

調査結果のまとめ

調査の結果,多くの観測点では全壊・大破といった大きな被害を受けた建物が見られなかった一方,K-NET正院周辺では全壊した木造建物が3棟見られ,棟数が少ないため参考値ではあるが,全壊率は8.1%となった.
K-NET正院の強震記録は,建物の大きな被害と相関がある周期1-2秒の成分が大きく(発生した地震動の性質はこちら),その大きさは,全壊率が1.8%であった2004年新潟感中越地震JMA小千谷と同程度である.そのため,全壊という大きな被害を受けた建物が見られたと考えられる.
その他の強震記録は,震度と相関がある周期1秒以下の短周期が卓越している一方,周期1-2秒の成分は小さかった.そのため,震度の大きさに対して,全壊・大破といった大きな被害を受けた建物が見られなかったと考えられる.

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